超塩基性岩の炭酸塩化における原岩化学組成の重要性を明らかにした論文が出版されました

超塩基性岩(マントル由来の岩石)の炭酸塩化は、沈み込み帯における二酸化炭素を含む流体と岩石の反応によって進行します。しかし、その反応を支配する要因は十分に解明されていませんでした。本研究では、静岡県瀬戸川地域の炭酸塩化した超塩基性岩を調査し、原岩の組成が炭酸塩化の進行や形成される鉱物を大きく左右することを示しました。特に、カルシウム(Ca)に富む単斜輝石岩質の岩石は、Caに乏しいかんらん石質の岩石よりも少ない流体量でリストベナイト化し、ドロマイトを形成しやすいことが分かりました。一方、Caに乏しい岩石では主にマグネサイトが形成されました。これらの結果から、原岩の全岩化学組成、とくにCa含有量が炭酸塩化過程を制御する重要な要因であることが明らかになりました。
Tatsuya Hattori, Ryosuke Oyanagi, Tomoyuki Mizukami, Yumiko Harigane, Mayuko Fukuyama, Asuka Yamaguchi, Tomoaki Morishita (2026) Carbonation of diverse ultramafic rocks: implications for Ca-rich protolith from the Setogawa Group, Central Japan. Contributions to Mineralogy and Petrology, 181, 74.
https://doi.org/10.1007/s00410-026-02359-0

GARL設立35周年記念セミナーで招待講演

国際協力機構(JICA)とパキスタン地質調査所(Geological Survey of Pakistan:GSP)が開催した地質科学研究所(Geoscience Advance Research Laboratories:GARL)設立35周年記念セミナー(2026年6月11日)において、招待講演を行いました。講演後には、エネルギー省・地質調査所より感謝の盾をいただきました。GARLは、1991年に日本の無償資金協力により設立された研究所で、パキスタンの地質調査や鉱物資源探査を支える分析拠点です。(JICA facebookにも)

JpGU2026で研究発表

JpGU2026でAlejoさんとMatbaさんが口頭発表をしました。私は錫石(すずいし)のU-Pb年代測定についてお話しました。
途中、TDK八幡テクニカルセンターにお邪魔させていただきました(初訪問!)。

更新

2026年度が始まり、ラボメンバーを更新しました。今年こそ、中途半端になっている他のページの更新もしたいと思います。

モンゴル高圧変成岩に関する論文が出版されました

モンゴルのZavkhan帯にある約200km離れた2つの蛇紋岩メランジェのエクロジャイトと変成岩について、それぞれが経験した温度・圧力経路と時期を調べました。その結果、両者の原岩(変成前の岩石)は年代も成因も大きく異なること、両者が形成されたのは約5億2千万年前の同じ高圧変成イベントであり2つは大きな一つのメランジェ帯であることが明らかになりました。これは、沈み込み帯の蛇紋岩メランジェが複数の異なる起源の岩石を取り込み地下深部まで沈み込んだ後、大陸衝突によって高圧条件に達したことで形成されたと考えられます。
Manzshir Bayarbold, Atsushi Okamoto, Noriyoshi Tsuchiya, Otgonbayar Dandar, Shreya Mukherjee, Dhanya Gelli, Geri Agroli, Mayuko Fukuyama, Jamba Byamba. (2026) Subduction-induced high-pressure collision metamorphism: Evidence from Early Cambrian eclogites in the HP Hutul Mélange, Zavkhan Terrane, Western Mongolia. Gondwana Research, 155, 176-195. DOI: https://doi.org/10.1016/j.gr.2026.02.002

リチウムペグマタイトに関する論文が出版されました

Dolnapha Phrairojさんの修士研究の内容です。タイ南部ではリチウム資源である大規模なリチウムペグマタイト(リチウムを多く含む岩石)が発見されています。この地域の花崗岩とリチウムペグマタイトの形成は、三畳紀後期・白亜紀後期・暁新世にわたる造山運動とプレート沈み込みに関連し、リチウムペグマタイトは白亜紀後期のトルマリン花崗岩マグマに由来することが明らかとなりました。
また、ペグマタイトにはジルコンが含まれないため、ペグマタイトに含まれる錫石について、日本で初めて錫石のU-Pb年代測定を行い、リチウムペグマタイトの形成年代を決定しました。

Dolnapha Phrairoj, Mayuko Fukuyama, Ladda Tangwattananukul (2025) Geochemical and Geochronological Constraints on the Petrogenesis and Tectonic Evolution of Li‐Pegmatites and Granites in Phang Nga and Phuket, Southern Thailand. Resource Geology, 76, e70024. (20 pages)
DOI: https://doi.org/10.1111/rge.70024

高校生の研究室訪問

本荘高校2年生がサイエンスラボで本研究室を訪問しました。今回はICP-MSを用いて、さまざまな水試料の分析を行いました。分析結果から、周期表の1・2族元素は縦方向で性質が似ていることを確認しました。また水溶液中の遷移元素は、イオン半径が比較的近く、性質が連続的に変化するため、周期表の横方向でもいくつかの元素で濃度に相関がみられることがあると学びました。