地球化学の研究

岩石のU-Pb年代測定

地球の歴史を知るときに、いつ岩石ができたのかというのは重要な情報です。本研究室では、岩石中の鉱物に含まれる僅かなウランの放射性同位体が鉛に変化する「ウランー鉛年代測定法」を用いて、岩石の年代測定を行っています。

レーザーでサンプルを照射して、質量分析計という装置でウランと鉛の量を測定します。

岩石のU-Pb年代測定法に一般的に用いられるのは比較的多くのウランを含むジルコンという鉱物です。近年、ジルコン以外の鉱物のU-Pb年代測定法も実施されるようになってきました。本研究室では、炭酸塩鉱物や柘榴石といった新たな鉱物のU-Pb年代測定法の開発も行っています。また新たな同位体分析手法の研究も行っています。

宝石用に研磨されたザクロ石(ガーネット)



機械学習の手法による鉱物の形成環境の推定

岩石の構成要素である鉱物は化学組成や同位体組成にその形成時の情報を保持することがあります。特に鉱物中の微量元素濃度は形成プロセスや共存鉱物の種類によって大きく影響されることが知られています。

試料中の鉱物ひとつひとつの化学組成を多項ロジスティック回帰、ランダムフォレスト、サポートベクターマシン等の機械学習の手法に基づいて分類し、分析データと組み合わせて解析をすることで、岩石や鉱物の形成時の環境を推定することができます。

例) 鉱物微量元素組成データを用いた起源岩石種の推定



スカルン等の花崗岩マグマに伴う鉱床の形成メカニズム・プロセス

石灰岩や堆積岩に花崗岩が貫入すると、花崗岩周辺に新たな鉱物ができることがあります。これをスカルン鉱物と呼びます。スカルン鉱物には銅や亜鉛、鉛など、有用な金属を含むものが多く大規模に産出する場合は鉱床となります。世界的にも大規模に採掘をした岩手県の釜石鉱山がよく知られています。花崗岩のマグマは、スカルン以外にも様々な金属鉱床を作り出します。花崗岩に関連する鉱床の形成条件を制約したり、鉱床のできるプロセスを調べる研究を行なっています。

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現地を歩いて調査している様子