固体地球科学の研究

マントル対流復元のためのデータ同化手法開発

マントル対流は,その一部がプレート運動として現れ,地震や火山噴火の原動力となる重要な現象です.しかし,地球のマントルはとても深いために,直接見ることはことできません.マントルの歴史は46億年と長く,過去の情報はほとんど残っていません.そのため,マントルの内部の状態や,進化の過程には,未解明な点が多く残されています.そこで私たちは,地震波トモグラフィ,プレート運動,岩石記録といったマントルの状態を間接的に示す複数のデータを,パズルのピースを組み合わせるように,「データ同化」と呼ばれる考え方に基づいて流体力学の理論に融合させることで,マントルの温度,流れ,物質循環などの歴史を定量的に復元するための数理的手法を開発しています.



地震・火山・プレートテクトニクスの同時データ解析

大地震や爆発的な火山噴火は,日本列島などの「沈み込み帯」を特徴づける重要な自然現象ですが,その発生プロセスは非常に複雑です.私たちはデータ駆動的なアプローチにより,世界各地の沈み込み帯で観測される様々な「プレートテクトニクス」のデータを解析することで,そのような複雑な現象を支配する重要なパラメタを抽出し,予測モデルを立てる研究を行っています.これまでの解析により,大地震が発生する地域的には,(1) 大陸側プレートの地殻が厚い,(2) 付加体と呼ばれる地質構造が存在する,(3) 海溝に厚い堆積物が溜まっている,(4)海溝が深い,(5) 沈み込む海洋プレートの曲率半径が大きい,といった特徴があることがわかりました.今後は,観測点や変数を増やし,解析手法を改良することで,さらに精度の良い予測モデルを作成することを目指しています.