メカニカルフリー液晶レンズ技術が実現する産業応用への研究開発

液晶材料は光機能性を持つ低分子有機材料であり、その分子配向(配列)により、光学的および電気的に異なる性質(異方性)を持っています。液晶材料の持つユニークな電気光学特性を活かした光学素子として、液晶レンズ、マイクロレンズアレイ、プリズムの研究開発を進めています。

この液晶光学素子は、電子的に焦点面を3次元的に制御可能であり、メカレス構造のため振動に強く、低消費電力で駆動できます。レンズの大きさはマクロサイズからセンチメートルサイズまで実現可能で、レンズ性能指標である光学位相差が滑らかで、高精細な像を実現できます。撮像センサデバイスや各種光学半導体センサとの組み合わせた応用展開が期待できます。

液晶光学素子のさらなる高精度化,高機能化に向けて,液晶材料の物性パラメータ(誘電率異方性,複屈折,弾性定数)と構造パラメータ(レンズ領域の電極幅や液晶層厚)を用いた3次元液晶分子配向シミュレーションを独自に開発しました。このシミュレーションにより、液晶レンズにおける液晶分子の3次元分布と光学特性を解析しています。シミュレーションで得られた結果に基づき、実際に液晶光学素子の試作を行い、電気的特性と光学特性を評価しています。